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2007年11月1日号

贈る心を和紙にたくして
「折形礼法」日本古来の武家礼法

山根折形礼法教室主宰 山根一城 氏

鶴の箸置き・贈進紙幣包み・略式紙幣包み

「折形」とは「折形」(おりがた)とは昔から行われていた礼法の一つで、「もの」や「お金」を和紙で包む「包み方」の方式のことで、「折形礼法」といいます。 今から約600年前の室町時代将軍足利義満は伊勢家、小笠原家などの高家に命じて「礼法」を研究制定させました。以後、武家社会を中心に折形はこれらの礼法の一つとして各御家の秘伝あるいは口伝扱いで伝えられました。小笠原家家系の一つでは弓馬礼法(そとの礼法)により主に大名や旗本の指導にあたりました。伊勢家は殿中の礼法(うちの礼法)の指導を任され、折形はそのひとつでした。

木の花包み(600年前の古典)

当時和紙は大変貴重で高価なものであり公家と上級武家の間のみで使用されていましたが、時代が移るにつれ量産され、徐々に一般庶民の間にも浸透普及してゆきました。
折形が一般に広まり、特に装飾用の折形は遊びとして発展し、現在の「折り紙」となりました。
明治中期から昭和初期頃までは高等女学校や女子師範学校の作法教科書には、数種類の折形図が載っていて行儀作法とあわせて教えられていました。しかし、戦後急速な西欧文化の浸透につれこうした日本古来の「折形礼法」は急速に日常生活から消失してしまいました。
今では結納品一式「のし包み」と神前結婚式の飾りに使われている瓶子(へいし)「雄蝶雌蝶」(おちょうめちょう)の飾りなどに残っているだけのようです。多くの場合、祝儀袋を購入し、包みは百貨店などでのしを掛け、包んでもらうことが当たり前のようになっていますが、まずその背景や意味を知ることも大切なのではないでしょうか。

箸包み(くろ文字付き)

紙の格
折形礼法はその形から一目で中身が何であるかわかることが特徴であり、使う和紙は相手との関係に応じて紙の質「格」を明確に使い分けるようになっている、階級社会のコミュニケーション手法でもありました。最上位の方には手漉きの檀紙という楮を使った紙を、次に奉書、のり入れ奉書、半紙、懐紙と使い分けます。純白の楮は「たく」と呼ばれ、清浄な太陽の白を意味します。 神事、儀式に白の和紙が使われる所以です。

折形礼法の心
折形は相手を思い、礼の気持ちを時間をかけて貴重な白の和紙で手ずから物やお金を折包む行動で、世界で他に類を見ない日本独自の素晴らしい行動美学です。 日本古来の「折形礼法」を学ぶことによって日本の伝統を見直すきっかけとなれば幸いです。 ゆとりのない世の中だからこそ、手間隙をかけて自ら折形で贈り物を包んで直接手渡し、良い人間関係をつくりたいものです。

【山根一城(やまねかずき) 氏・プロフィール】
山根折形礼法教室主宰
山根折形礼法教室主宰折形礼法をわかり易く体系立てて普及指導している。東京東中野の教場で指導するほか、NHKテレビ、ラジオ、雑誌、講演などで活躍中。礼法研究家、折形礼法研究の第一人者山根章弘の後継者。外資系企業勤務の後2003年度より折形普及活動に取り組んでいる。アナログ文化を提唱し、オーディオ、音楽、中国茶、天文教室などの分野でも活躍。またビジネス分野では危機管理と広報のコンサルティング、講演なども行っている。著書:「折形レッスン」(文化出版局)、「暮らしに使える 折形の本」(PHP研究所:2007年11月発刊予定)

[HP] http://www.yamane-origata.com

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