2008年8月1日号
ティーハウス、今と昔と…
ライター・英国アンティーク研究家 小関 由美 氏

9年前に『イングランド-ティーハウスをめぐる旅』という本を出しました。当時は昔ながらのティーハウスが次々とつぶれていって、このままではなくなってしまう、そうなる前に日本のみなさんに存在を知っていただき、ぜひ訪れていただきたいと思ったのが、この本を作ったきっかけでした。
その後イギリスは好景気によるグルメブームが起こり、紅茶だけでなく緑茶や中国茶の流行、以前は日本人観光客しか訪れないなどといわれていた、高級ホテルでのアフタヌーンティーがトレンドになったりと、以前では考えられないほど、食やお茶をめぐる環境が激変しました。それを書いたのが、3年前に出版した『イギリスでお茶を』という本です。この本には他にも、私の長年のテーマであった、クロテッドクリームやスコーン、イギリス家庭料理の取材も多数、掲載しています。 そして今回の本は、『イングランド-ティーハウスをめぐる旅』の情報が古くなってしまい、閉店したお店なども増えてきたので、絶版となったのをきっかけに、新たなるティーショップガイド本を作ってみようと思い立ちました。もちろん以前ご紹介した中でも健在なお店は、掲載します。それとともに変わりゆくティーハウスの今昔というものを、今回ご紹介したかったのです。

まずはどう変わったかというと、グルメブームがやや落ち着きをみせはじめた今日、おしゃれすぎるお店よりも、ノスタルジーのある、昔ながらのテイストを入れた、しかしオールドファッションすぎないティーハウスの登場です。
高級住宅街の小さな商店街、ロンドンのハイゲイトヴィレッジにある「ハイティー・オブ・ハイゲイト」はその代表。かわいらしい小さなティーハウスで、かわいらしい女性オーナーが毎日スコーンを焼いています。開店と同時に近所の人々が訪れ、すぐにお店はいっぱい。おばあちゃんから教わったというレシピのスコーンは、ホームメイドの素朴な味です。
また以前ご紹介した、昔ながらのお店もますます繁盛しており、この本のためにいくつかのお店に再訪してみたのですが、スタッフが増えていて、大繁盛の様子。以前訪れたときと変わらぬ雰囲気と味。ロンドンのキューガーデンズ前にある「ニューエンズ」、バースの「サリーランズ」。いずれも有名店でありますが、変わらぬ隆盛ぶりをうれしく思いました。

そしてコッツウォルズ、ウインチクームという小さな村にある「オールドベーカリー・ティーショップ」。かねてからその評判を聞いてはいたのですが、訪れるチャンスがありませんでした。今年ティーカウンシルによる「トップティープレイス」に選ばれたので、初めて行ってみて、オーナーの樹里さんにお会いしました。日本人がイギリスでティーハウスなんて?と私の疑問をふっとばしてくれるほど、そのティーハウスへの熱い気持ち、お菓子作りへの情熱と才能、つくづく頭が下がる思いでした。樹里さんも私の本を読んでくださっていたこともあり、お忙しい中にお邪魔したのですが、もっともっとお茶やお菓子、ティーハウスに関しておしゃべりしていたい気持ちになりました。
【小関由美(Yumi Koseki)氏・プロフィール】 出版社勤務などを経て、1989年の渡英以来、文筆業のかたわら、アンティークビジネス「Bebe’s Antiques」も営業中。主な著書に『イギリスでアンティーク雑貨を探す』(JTBパブリッシング)『イギリスでお茶を』(主婦の友社)『英国コッツウォルズをぶらりと歩く』(小学館)など、英国文化に関する多くの著作を執筆。NHK文化センターにて、講師も勤める。
ホームページ http://www.bebesantiques.com




